Event Report

「社内初の女性執行役員としての働き方、
キャリアの重ね方」

中部電力ミライズ株式会社 執行役員
リビング・ビジネス営業本部長
石川 民子氏

中部電力ミライズと女性活躍推進

中部電力ミライズは、2020年4月に中部電力から分社化されました。電力やガスの販売にとどまらず、暮らしやビジネスの「未来図」を描きながら新たな価値・サービスを創造すべく事業活動を進めています。

女性活躍推進の面では、「2025年度に中部電力株式会社および事業会社全体で、女性役付職数を2014年度の3倍以上とする。」を目標に掲げています。2021年度には女性の主任級比率が女性社員比率同一程度となり、役付職候補者となる女性は着実に増加しています。

キャリアが自分を変えていく

ご自身の特技は「寝るとすぐ忘れること」と自己紹介された石川氏。それは「鈍感力」にも繋がり、長く仕事を続けてこられた秘訣とおっしゃいます。また、趣味を持つことは気持ちを切り替えることに役立っているとお話されました。

入社時の情報システム部門から所属を変えて昇格を果たしていった石川氏。入社時の部門でキャリアを重ねていくことが多い中部電力において、珍しいケースであると自他ともに認めていらっしゃいます。
また、ご自身のキャリアを時系列に並べ、異動や昇格の機会は、社会の女性活躍推進の時流に乗って巡ってきたと振り返られました。

そんな石川氏は、キャリアイベントに伴うご自身の心境の変化を4段階でご紹介くださいました。

  1. 成長がゆえ、唯我独尊になった時期
    • 入社後に学んだ技術を活かし、活躍を続け、どんどん自信をつけていった時期。
    • それゆえに、「私は一人でやっていける」と“天狗状態”になっていった。
  2. 時代の変化に伴い、“できない自分”を認知した焦りの時期
    • 得意の技術が時代の変化によって衰退し、最新の技術についていけていないことへの焦りを感じるように。
    • 参画したプロジェクトも上手く進まず、自信を喪失。さらにプロジェクト停止へ。
    • 誰かに頼ることができず、一人でもがいている状態。
    • 「まだ早いと思うけど」と、期待されていないなかでの課長昇格試験の受験指示により、モチベーションダウン。
  3. “自分”より“組織力”に焦点を当てるよう、変わっていった時期
    • 再始動したプロジェクトで、“マネジメント”が組織に与える影響を実感。
    • 実力が伴うか不安ななかでの異動や課長昇格試験へのチャレンジ。育ててくれた人、見守ってくれた人の期待に応えたい気持ちが後押しをしてくれた。
    • 相談できる環境、頑張りすぎなくてよい環境で自分らしく働ける心理的安全性を確保。
    • 評価の声も聞こえてきて、不安を払拭していった。
  4. “組織力”と一緒に自分も成長できた時期
    • 営業の現場を知らないまま、営業所長へ。
    • 不安を感じながらも、気持ちを切り替え、課せられたミッションと自分にできることを考え続けた。できないことは、周囲の人に相談し、助けてもらう。
    • 職責が自分を作っていく。執行役員登用も、不安はあったが、これまでと同じようになんとかやっていけると考えられるように。

立場が変わっても、変わらず大切にすること

「女性で役員」と紹介されると、スーパーウーマンだと思われることが多いけれど、不安を抱えながらも試行錯誤を繰り返して今の立場にある、とご自身のキャリアを振り返った石川氏。

これからも変わらずに大切にしていきたい姿勢を、「上司の立場として」「自分自身として」の2つの側面からご紹介くださいました。

上司の立場として

  • 仕事の目的を明確に捉え、共有する(この仕事は何のため?自分のミッションは何か?)
  • 相手に合わせた分かりやすいコミュニケーションをする(理解の促進・信頼関係づくり)
  • 一歩先、二歩先を考える(相手・上司・社会は何を考えているか?)
  • 部下の安全と健康が第一優先(組織みんなの心理的安全性を確保する)
  • 厳しいこともしっかり伝える(優しくした人ほどステップアップできない)

自分自身として

  • 自分らしくいる(自然体で、頑張りすぎない)
  • 感謝の気持ちを持つ(上司・同僚・部下・協力会社・お客さまに助けられている)
  • 色んなことに興味を持つ(仕事も、遊びも、社会の動向も幅広く。自分の成長に繋がる)
  • お客さま目線を忘れない(一社会人として、企業目線に染まらない)

みなさんへのメッセージ

グループワークでは「リーダーとして困難な場面に直面したとき、どのように対処していますか?」をテーマに参加者のみなさんが知恵を共有しあいました。

第1部の最後に、石川氏から参加者みなさんへのメッセージが贈られました。

リーダーの種類はさまざまです。周りを引っ張るリーダーシップを発揮できる人だけがリーダーなのではなく、「あの人にならついていってもいい」と思われてリーダーになることも、リーダー像の一つです。
グループワークを拝見して、みなさん一人ひとりがご自分の職場でリーダーとして解決策も持ちながら取り組んでいらっしゃると感じました。今みなさんがやっていらっしゃることは間違っていません。今日の私の話が、少しでもみなさんにとってのヒントになっていたら嬉しいです。
各社でリーダーとして活躍しているみなさんの存在をとても頼もしく思います。これからもぜひ活躍を続けていってください!

「女性役員として伝えたい、私らしい働き方」

ブラザー工業株式会社 常務執行役員
岩垂 友美子氏

ブラザーグループと女性活躍推進

1908年に創業したブラザー工業株式会社。ミシンの印象が強いかもしれませんが、現在は売上の5割以上を占めるプリンティング・アンド・ソリューションズ事業をはじめとした5つの事業領域を展開。グループ連結での従業員は4万人以上で、その7割以上を日本国外が占めるグローバル企業です。
2022年にブラザーグループビジョン「At your side 2030」を掲げ、「世界中の“あなた”の生産性と創造性をすぐそばで支え、社会の発展と地球の未来に貢献する」姿であり続けられるよう、企業活動の歩みを進めています。

女性活躍推進は、2014年頃に社内の有志による活動から始まり、全社に展開されていきました。育児休職、短時間勤務、在宅勤務制度などの両立支援制度に加え、近年では多様な働き方に対応したキャリア支援へ幅を広げ活動しています。
2022年にはサステナビリティ目標として、「管理職の健全なジェンダーバランスに向けたパイプラインの強化および多様な働き方を実現する環境整備」を設定。2025年度末には女性管理職を60名以上にすることを目標とし、育成を進めています。

ターニングポイントを経て、マネジメントの面白みを発見

営業職からキャリアをスタートした岩垂氏。現在は常務執行役員として、プリンティング・アンド・ソリューションズ事業領域の事業戦略、商品・サービス企画、顧客体験、販売企画、市場導入を担う5部門を担当されています。

キャリアを重ねるなかでターニングポイントとなった時期2つと、そこで感じたことをご紹介くださいました。

  1. ターニングポイント1 第一子出産後
    • 「暗黒」の復帰後
      子どもの体調不良で休みが頻発。誰の役にも立てていない焦燥感を持つ。TO DOリストをつくっても、チェックを付けられない日々。
    • できたことに〇をつける加点方式への切り替え
      できなかったことを数えるのではなく、できたことに目を向けて一歩ずつ歩む。
    • 自分から発信し周りの協力を引き出す
      助けてもらうことへの罪悪感を払拭!謝ってばかりではなく、助けを借りて「ありがとう」を伝えるように。
      Pay it forward”の精神で、自分が受け取った応援は次世代へ返していく。
    • 優先順位をつける
      家族(子ども)との時間を優先する。完璧主義は捨て、家事が手抜きになっても子どもが笑っていればOK!
  2. ターニングポイント2 管理職昇格
    • 背中を押してくれた上司
      昇格に尻込みし、できない理由をたくさん説明しても後押ししてくれた上司の存在が。根負けし、やってみようと思うように。
    • 自信は後からついてくる
      不安でも、まずはやってみる。自信は行動の後からついてくる。
    • マネージャー職のやりがい
      ひとりよりも大きな仕事が経験でき、チームで達成する喜びや部下の成長を感じられる。
      裁量と責任が伴う仕事の面白さを実感!

面白みを感じるマネージャーの仕事とは何なのか、岩垂氏が納得した解釈を教えてくださいました。

マネージャーの仕事はチームのアウトプットを最大化すること
(「HIGH OUTPUT MANAGEMENT (アンドリュー・S・グローブ著)」より)

  • 組織のアウトプットがマネージャーのアウトプット。
    1+1を2以上に最大化するテコの役割を担う。
  • アウトプット最大化のキーは人財マネジメント。
    ・メンバーのやる気と能力を高め、力を最大限に発揮させる。
    ・活躍する『場』と『役割』をつくる。
    ・メンバーの考えを引き出すための「質問力」を高める。

職位が変わり、景色も変わる

部門長になって、期待されることと自分の見ている時間軸が変化したことに気づいたという岩垂氏。今日・明日の仕事は、実務に詳しいメンバーがやってくれる、自分はその先のことを考えるようになったといいます。
部門の未来を語り、実現に向けての構想を示す。そのために必要な役割と期待を伝える。このように部門のマネジメントをしていくなかで、ご自身のリーダーシップを次のようにご紹介されました。

「等身大」を活かす + エンパワーメント

  • 自由に物が言えるフラットな関係を築く
  • 人を巻き込み、知見・知恵を借りる(相手の活躍の場をつくることに繋がる)
  • 仕事を任せ、裁量を大きくする(裁量権はモチベーションと自主性を育む)
  • 結果の責任は自分にあるという覚悟

役員に昇格された現在を「まだ着慣れない洋服を着ているような感覚は残っている」とおっしゃりながらも、やってみると多様な背景を持った人材が意思決定に関わることが変化対応力を強めると実感できた、といいます。「私でなくてもいいのでは?」と任命時に感じた不安は、行動を起こすことで自信に変わっていきました。

そんな岩垂氏の現在のモチベーションは「Pay it Forward 次世代に恩返しする」こと。
ご自身が受け取った恩(機会と支援)の借金はまだまだ返せていないので、利息をつけて次世代に贈りたいとお話されました。
また、これまでも自分自身がロールモデルになろうと思っていたわけではない、先を歩む者として次世代が進みやすくなるような地ならしをするのが役割、とも語られました。
純粋に「メーカーの仕事は楽しい!」と断言され、グローバルチームでの成功を目指していくことにもやりがいを感じていらっしゃいます。

みなさんへのメッセージ

「仕事でやりがいを感じるのはどういうときですか?」をテーマにしたグループワークを経て、講演会の最後に岩垂氏から参加者のみなさんへのメッセージが贈られました。

キャリアの扉をまず、開けてみてください!決まったキャリアプランがなくてもいいのです。扉を開けてみれば、何かが待っています。断らずに、まずやってみましょう。自分には見えていない自分の良さを、推薦してくれる方は見ています。
何かを始めるのに、いつだって遅すぎることはありません。みなさん一人ひとりが次世代へのロールモデルになりえます。一緒にがんばっていきましょう!

第4回
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