「女子大学生と『あいち女性輝きカンパニー』の交流会」現地レポート ~vol.1 椙山女学園大学編~
女子大学生と愛知県認証の女性活躍推進企業「あいち女性輝きカンパニー」の交流会が椙山女学園大学で開催されました。
システムエンジニアって理系の仕事?製造業や建設業は男性ばかり?
女性社員のリアルな声を聞いて、学生の業種・業界に対するイメージはどのように変化したのでしょうか。
「あいち女性輝きカンパニー」って?
愛知県では、女性の活躍促進に積極的に取り組む企業等を「あいち女性輝きカンパニー」として認証し、その取組を支援しています。(認証企業数は1,463社/2024年8月1日時点)
本交流会について
椙山女学園大学 吉田あけみ教授の「女性と社会B」の授業において、2024年5月31日に女子大学生と「あいち女性輝きカンパニー」の交流会を実施しました。
登壇者
「あいち女性輝きカンパニー」認証企業(五十音順)
- NDSインフォス株式会社(情報通信業)
- 株式会社オーテクニック(建設業)
- 株式会社テルミック(製造業)
コーディネーター
オフィスアイム 代表 市川麻波
総合司会
愛知県県民文化局 男女共同参画推進課 主査 西本 明日香
交流会スケジュール
- 女性社員による自己紹介及び人事担当者による会社の魅力のPR
- パネルディスカッション
- 交流タイム
- 登壇者(女性社員及び人事担当者)からコメント
交流会
NDSインフォス株式会社
- 石原 愛理さん(システム営業部、椙山女学園大学出身)
- 匂坂 舞さん(経営企画部)
- 杉原 安耶香さん(経営企画部)
NDSインフォス(株)は、“システム開発”をミッションとする会社として、ソフトウェア開発とITインフラ構築を中心としたソリューション事業に取り組んでいます。2023年3月には女性活躍・育児休業促進WG(よかけんWG)が発足し、管理職インタビューや育休から復帰した社員へのインタビュー、情報誌の発行を行うなど、女性の活躍促進・育児と仕事の両立に向けた取組を推進しています。
株式会社オーテクニック
- 佐藤 百華さん(人事総務課、採用担当)
- 鈴木 真ゑさん(人事総務課)
(株)オーテクニックは、仮設工事や仮設資材のレンタル・販売、クラウドシステム「健工管理」の開発・販売などを行っている、“足場”の会社です。10、20代が5割、平均年齢が36.8歳であり、若い世代が多く在籍しています。また建設業界の女性比率は約1割にもかかわらず、当社は男女比が7:3であり女性が活躍している会社です。
株式会社テルミック
- 福田 美波さん(Customer connect Division)
- 江崎 千紗さん(Management Division)
(株)テルミックは、金属部品加工単品小ロットの製造を得意としている会社であり、見積から納品までを一括管理する一貫生産方式をとっています。当社は、営業スタイルを内勤スタイルに変更する、職場環境の改善、DXの推進などの働きやすい環境づくりに取り組んでいます。その結果、女性社員比率が約7割、役職付社員の女性比率が4割以上となり、女性が活躍しています。
第1部<パネルディスカッション>
パネリストは以下の3名です。
- 石原 愛理 さん(NDSインフォス株式会社)
- 佐藤 百華 さん(株式会社オーテクニック)
- 福田 美波 さん(株式会社テルミック)
コーディネーター(以下「Co」):
学生のみなさんには、この交流会を、こういう会社あるんだな、業界があるんだな、こういう方たちが活躍しているんだな、というように、今後のキャリアを考えるきっかけにしてほしいと思います。
Q1 数ある中からなぜこの業界・業種を選んだのでしょうか?
石原さん:
システムは現在の情報社会のなかで身近に感じられます。そんな自分の身の回りの社会生活にあるシステムについて、どんなものを作ろうかなどを考えることが楽しそうだと思いました。
佐藤さん:
事務職を中心に就職活動をして、業界にこだわらず社風などが自分に合うものを探していました。オーテクニックの社風については、実際に会社説明会や面接で、人事担当や代表の人柄の良さなどを感じることができました。
福田さん:
転職でテルミックに入社しましたが、その際には業種は絞らずに、働きやすさで選びました。面接に行ったとき、製造業の3K(きつい、きたない、きけん)のイメージを覆す、綺麗で快適なオフィスや女性が多い環境を知り、楽しそうだと思いました。
Q2 入社前のイメージと入社後のギャップ
石原さん:
入社前は、IT業界は人と接する機会が少ないイメージがありました。しかし実際には、お客様とシステムの仕様について考える、チームのメンバーと打合せをするなど、コミュニケーションをとる機会が多かったです。
Co:
“システム”や“エンジニア”と聞くと、パソコンの前で仕事をするイメージを持つ学生さんも多いかもしれませんね。石原さんが心掛けているコミュニケーションのポイントはありますか?
石原さん:
心掛けているコミュニケーションのポイントは、相手の考えていることを聞き出せるように、聞き方を意識しています。
Co:
学生のうちからコミュニケーション力を上げるためにアドバイスはありますか?
石原さん:
みなさん日頃からしていると思いますが、色々な方とお話をしてみるということだと思います。
Co:
色々な方とお話をすることですね。佐藤さんは入社前と入社後のギャップについて、いかがですか。
佐藤さん:
ギャップはありませんでした。ただ、入社前は建設の足場の会社なので怖いイメージや、圧が強いイメージがありましたが、みなさんフランクに話してくださいました。技能実習生や足場の職人さんも話しかけてくださいます。
Co:
ギャップがないと働きやすい、というのは学生のアルバイトも同じですよね。ちなみに佐藤さんは学生の時から足場というものを知っていましたか?
佐藤さん:
知りませんでした。足場は建設物を作るために必要なものです。
Co:
技能実習生という言葉が出ましたが、こちらも学生の方は知らないかもしれません。佐藤さん、教えてください。
佐藤さん:
オーテクニックでは主にミャンマー、ベトナム、フィリピンなど、海外から日本に仕事を学びに来ています。30人弱いて、最初は日本語を話せませんが、コミュニケーションを重ねていくと、職人さんが使うような言葉を使うようになるので、話していて楽しいです。
Co:
語学力を活かしたい学生さんなどは、この視点で就職について考えることもできますね。福田さんは、入社前と入社後のギャップはありましたか?
福田さん:
入社前は、製造業は男性が多く危険で服が汚れたりするのでおしゃれなどができないイメージだったのですが、髪型・服装・ネイルが自由なので自分らしく働くことができています。また社長との距離が近く自分たちの声が反映されやすいのが働きやすいポイントだと思います。
Co:
おしゃれというのはどの程度許されるのでしょうか?
福田さん:
お客様のところへ行くときはオフィスカジュアルですが、普段は特に縛りはなく、なんでもOKです。
Q3 仕事のやりがいと今後のキャリアビジョン
石原さん:
システムが完成してお客様に納品したときにやりがいを感じます。お客様の要望を聞き出してシステムを形にする、設計から製造まで、手塩に掛けたシステムがお客様のところへ届いたとき達成感を感じます。
Co:
仕事によって得られるもの、自分が大切にしたいものがありますよね。今後のキャリアビジョンはいかがですか?
石原さん:
出産・育児などのライフイベントに左右されずに仕事を続けていきたいです。10年後、20年後も続けていたいですね。
佐藤さん:
やりがいは、人事担当なのでイベントを企画するのですが、そのときに従業員の皆様に楽しかったといってもらえたときに感じます。キャリアビジョンは、今は大学を卒業して2年目で、新卒で人事に入ったので知識をつけたいです。あとは人事担当として、会社についてリラックスできる環境を作りたいです。
福田さん:
周りの先輩や上司から「よく頑張ったね」と言ってもらうことや、お客様に「福田さんに頼んでよかったよ」と言っていただける、ひとつひとつの言葉の積み重ねがやりがいにつながっています。今後のキャリアビジョンとしては、弊社は育休や産休が取りやすく、私は結婚や出産と仕事を両立させていきたいと思っているので、ライフステージの変化に伴って、会社の未来と会社に貢献できるために、力が発揮できることを考えながら様々なことに挑戦していきたいです。
第2部 <交流タイム>
Q1 どのような企業に魅力を感じるか
学生:
女性が産休や育休から復帰したときに昇格が難しいなど課題があると思うのですが、自分の能力を発揮できる企業はいいなと思います。
Co:
産休・育休のことについてのコメントがありました。ここは福田さんに教えていただきましょうか。
福田さん:
システムがあるので業務の引継ぎもスムーズですし、担当が変わったときも対応できるので、特に困ったことはないです。システムは見積りの内容などを一貫して管理するシステムのことで、それを見れば業務の把握ができます。
Co:
仕事がマニュアル化されている、これは属人化されていないとも言いますが、教育制度やだれもが平等に知識を習得できる機会があると恐らく良いのかもしれませんね。私の観点でお伝えすると、育休中・産休中の方とミーティングをしていると戻りやすい、なんてこともありますね。
Q2 情報通信業界・建設業界・製造業界のイメージと、今日話を聞いて感じたこと
学生:
情報通信業界は理系のイメージが強かったけど文系の方も活躍していて、建設業界や製造業界でも男性だけでなく女性も活躍していると知りました。
Co:
情報通信業界は理系のイメージだということですが、そう思った理由は何なのでしょうか?
学生:
システム管理でパソコンに強い人が集まるから、理系が多いのかなと思いました。
Co:
情報通信業界に限らず社会人にパソコンスキルが必要とされていますが、どのくらいのスキルがあればよいのでしょうか?
石原さん:
正直自分はパソコンスキルがない状態で入社しました。ただプログラミングコードを書くために、もしできるのであれば調べ方、インターネットでの検索ができるとよいと思います。
Co:
検索ですか。それは学生のみなさん、お手の物なのではないのでしょうか。ではもう1名伺います。
学生:
自分がいま4年生で就活をしていますが、自分が見ていなかった業界なので、視野が広がりました。
Co:
自分が知っている業界というのは限られていると思っておくのがいいでしょうね。たとえば製造業でいうと、世の中になにを製造する会社がありますか?
福田さん:
みなさんが使っている机とか、部品のひとつひとつが製造業で作られています
Co:
製造業と一括りに言っても、いろんなものがありますよね。ですので、業界のイメージだけではなくひとつひとつ自分のことに向き合いながら、企業様に向き合ってもらえればと思います。
Q3 どこで働くかについて考えていることと、10年後自分はどのような働き方をしたいか
学生:
公務に就いて、キャリアアップしていきたいです。
学生:
交通の便が良いところに就職して、ワークライフバランスを大事にしていきたいです。
学生:
子供を産んでも仕事を続けていきたいです。
Co:
多くの学生さんたちがライフステージに関わらず働き続けていきたいと考えていらっしゃいます。本日御登壇のみなさまから、一言ずついただきましょうか。ライフステージが次の段階になったときのために今行っていることや、学生に対するメッセージがあればお願いします。
佐藤さん:
悩むこともありますが、失敗は誰でもすることだと思うので、諦めずに継続して働き続けていければいいなと思います。就職活動で悩むこともあると思いますが、いろんな選択肢があるので、自信をもって進んで頂けたらと思います。
福田さん:
今のうちに、自分がどんな性格でどんな人が合うのかなど、自分について知ることが大切かなと思います。それを知ることで、こういう仕事が自分に合っていたんじゃないかな、などを見つけるヒントになると思うので、いろんなことを経験して、いろんな人に会ってお話をすることが大切だと思います。
石原さん:
あまり自分の苦手分野に対してネガティブに捉えなくて大丈夫です。それは他の誰かが得意だったりします。社会人になって、自分一人で完結する仕事はほとんどなく、チームでいろんな人と関わりながら仕事を進めていくことが多いので、自分の得意なことを見つけて伸ばしていってもらえたらと思います。
Co:
今共通していたのが、受け止め方とか、自分にできることを考えることが大切だということですね。みなさんが10年後の自分を考えていても、思い通りにいくことだけではないので、だからこそ自分の選択肢を増やせるように、できることを増やしていってもらえたらと思います。
登壇者(女性社員及び人事担当者)から県内で働いてよかったこと・学生の皆さまへエール
NDSインフォス株式会社
石原さん:
これからは違った世界を見に行く時期だと思います。ぜひ新しい世界で、自分の好きなことを見つけていただけたらと思います。頑張ってください。
匂坂さん:
県内で働いてよかったことは、地元で働いて地元に貢献できるということです。また弊社は男性女性共に産休育休前と復帰前の面談を行うなど、育児休業・女性活躍を推進し、男女ともに働きやすい環境づくりに取り組んでいます。それが本日少しでも伝わったらと思いますし、業界を考えるきっかけとなれば嬉しいです。本日はありがとうございました。
杉原さん
私も地元名古屋で働きたいと思っていました。仕事については、趣味がお菓子作りだということ、大学では環境デザインを学んでいたことから、自分は作ることが好きなんだと思い、システム会社を選びました。そのように、皆さんも好きなことを考えて企業選びをしていくと、ご縁のある会社に出会えるのではないかと思います。
株式会社オーテクニック
佐藤さん:
私も地元で働きたいと思っていました。会社のことでいうと、研修や交流会があるので、建設業だから怖いイメージを持つ方もいると思うのですが、今日でそういったイメージを払拭できていたらと思います。
鈴木さん:
私もこれまで複数の会社で働いてきましたが、愛知で働くのが一番しっくりきます。オーテクニックは、事務職でもいろんな仕事をしています。自発的に動いて仕事を見つけるという働き方が合う方に向いている会社です。
株式会社テルミック
福田さん:
私は生まれも育ちも愛知で、住み慣れた地域だと心に余裕が持てます。学生のみなさんには、いまある時間を、挑戦できることを大切にしていってほしいです。結果何とかなると思います。
江崎さん
愛知県出身で、実家から通いたいから今の会社を選びました。家族などの身近な人になにかあったときに頼れる、駆け付けることができるというのは大切なことだと思います。テルミックは、製造業という形にとらわれないというのをお話しましたが、良い意味で期待を裏切る会社です。
まとめ(閉会にあたり吉田教授より一言)
吉田教授:
みなさんお疲れ様でした。いろいろご説明いただいてイメージが変わったと思います。システムエンジニアについて、とくに学部を問わず応募できるということをお話いただきまして、そうなんだと思ったのではないでしょうか。また椙山女学園大学のOGの方がご活躍だということで、私たちも頑張ろうと思えたのではないかなと思います。今回はみなさんには馴染みの薄い業種が多かったかもしれませんが、会社の業種に関わらず、人事、総務、営業という仕事があるということや、職場の現状について知ることができたということがよかったと思います。また、職場環境や社会環境が変化し、女性が就労しやすくなってきているということが理解できたのではないかと思います。