今後、男女の賃金差異の公表の義務が生じる中小企業等が活用できるよう、算出方法や公表方法をご紹介します。あわせて、既に男女の賃金差異を公表し、差異の要因分析をしている企業の事例をご紹介します。
男女の賃金差異とは
男女の賃金差異は、単なる「同じ仕事をしている男女の賃金差」ではなく、賃金水準の高い分野(管理職・技術職)への登用割合や、キャリアの中断による継続勤続年数の短さの影響を強く受けるため、女性の登用や継続就業の進捗を測る指標として有用です。企業においては、数値の大小に終始することなく、法に基づき、自社の管理職比率や平均継続勤務年数などの状況把握・課題分析を改めて行った上で女性活躍推進のための取組を継続することが重要です。
算出方法
まず、公表が求められる情報は
・対象期間 原則:直近の事業年度 例:事業年度が2025年1月1日~2025年12月31日の場合、2024年1月1日~2024年12月31日を公表する。
・「全労働者」、「正規雇用労働者」、「非正規雇用労働者」の男女の賃金差異
です。
次のSTEPにより男女の賃金差異を算出できます。
○STEP1:労働者を4つのグループに分ける
・女性、正規雇用労働者
・男性、正規雇用労働者
・女性、非正規雇用労働者
・男性、非正規雇用労働者
(ポイント)
・正規雇用労働者は、期間の定めなくフルタイム勤務する労働者及び短時間正社員を指します。
・非正規雇用労働者は、パートタイム労働者、有期雇用労働者を指します。
・派遣労働者は除外します(派遣元において算出します)
・出向者、海外赴任者、休業中の人(産休育休中、病休中等)は各企業の実情に応じて取り扱います。
・育児・介護の事情で短時間勤務や時間外労働等の制限を受けた人は、賃金がその分少なくなっていても除外しません。
毎年公表するものであるため、一貫性のある考え方、男女の労働者で共通の考え方にしましょう。
○STEP2:各グループの総賃金と人数を出す
「賃金」
・賃金、給料、手当(扶養手当、住宅手当、単身赴任手当等)、賞与等の労働の対価として使用者が労働者に支払う全てが当たります。
・退職手当は年度を超える労務の対価という性格を有するため除外可能です。
・通勤手当、旅費、宿日直料、交際費、転居費用、ガソリン手当等、実費弁償という性格を有するものは除外可能です。
「人数」
・数え方は「連続12か月の各月末日の労働者数の平均」、「事業年度通して籍のある人」等、企業によって判断することができます。
○STEP3:STEP1で分けた各グループの平均年間賃金を出す
各グループの平均年間賃金=総賃金÷人数
○STEP4:賃金差異を出す
女性の平均年間賃金/男性の平均年間賃金×100%
を、小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位まで出します。
○STEP5:概要欄の活用
数値だけでは伝えきれない自社の実情を説明するため、より詳細な情報や補足的な情報を公表することができますので、有効活用してください。
(記載例)
・女性活躍推進の観点から女性の新規採用を増やした結果、前事と比べて相対的に賃金水準の低い女性労働者が増加し、前事業年度より男女の賃金差異が拡大した。
・扶養手当や住宅手当を受ける社員は男性が多いことが、差異の主な要因である。
・育児や介護による短時間勤務の女性社員が多く、給与や賞与が少ないことが差異の主な要因である。
・管理職に女性が少ないことが差異の主な要因である。そのため、「女性管理職養成研修」において本人のモチベーション向上する施策などを実施している。
・諸手当の多い技能職に男性の配置が多いため、男女の賃金差異が大きい。(総合職のみの男女で比較すると、賃金差異は大きくない)
→この場合、追加情報として、正規雇用労働者のうち、「総合職」のみの男女の賃金差異を公表すると効果的です。
公表方法
他の情報公表項目とあわせて、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」や自社ホームページ等で公表し、求職者等が容易に閲覧できるようにしましょう。
優良事例紹介
既に男女間の金差異を公表し、差異の要因を分析している企業をご紹介します。
・株式会社シーテック(建設業)![]()
・矢作建設工業株式会社(建設業)![]()
・株式会社FTS(製造業)![]()
![]()
・豊田合成株式会社(製造業)![]()
![]()
関連情報
・男女間賃金差異の解消に向けて(厚生労働省)
・男女間賃金差異分析ツール(厚生労働省)
主に中小企業向けに男女の賃金差異の要因を分析できる簡易なツールとして厚生労働省が公開しています。ご活用ください。
(参考)女性活躍推進法における公表制度の状況
| 企業の規模 | 賃金差異の情報公表について |
| 301人以上の企業 | 義務(2022年7月8日から) |
| 101人以上300人以下の企業 | 努力義務。ただし、2026年4月1日から義務となる |
| 100人以下の企業 | 努力義務 |